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家族からの資金援助で発生する贈与税には非課税制度をうまく利用しよう
人生で最も大きな買い物といわれる住宅の購入に際して、資金計画に慎重になる方も多いのではないでしょうか?
また、頭金に関してはご両親や祖父母からの援助を受ける方もいます。
しかし、ここで注意しなければならないのは、資金援助でかかる金額に応じて贈与税を支払わなければならないことです。
贈与税が発生することを知らずに資金援助を受けると、税金の支払いに追われて住宅資金が足りなくなってしまうなど本末転倒な事態に陥る可能性もあります。
なぜ贈与税が掛かるのか、その理由や、自分たちが資金援助を受けた場合に支払わなければならない金額をあらかじめ勉強しておきましょう。
贈与税がかかる理由には「相続税」が深く関係してきます。
相続税は、家族が亡くなる時にその家族が所有する財産の相続に対してかかる税金のことをいいます。
そのため、もし亡くなった家族が財産を全く所有していなかった場合、相続税がかかることはありません。
この相続税の抜け道を利用し、生前に財産を全て家族に与え相続税を支払わなくて済むようにしようと考える人が出てくる恐れがあるのです。
このような人たちでも必ず公平に税金を支払ってもらう必要があります。
そのために相続税法の中で「贈与税」という制度が作られました。
贈与税は相続税よりも税率が高く設定されており、脱税をしようとする人が出ないように考慮されています。
まず、「血縁関係のある親・祖父母からの資金援助」を受ける場合の贈与税の計算方法をご説明します。
この場合の贈与税は、「特例贈与財産税率」での計算が適用されます。
血縁関係のない家族、直系専属以外の家族からの資金援助は「一般税率」での計算になるため、まずは誰からの資金援助を受ける予定かを確認してください。
では、はじめに、贈与税の支払いの基準になる課税価格は以下の計算式で求めます。
例えば以下の場合の課税価格を考えてみましょう。
・ご両親から受け取った住宅の頭金:500万円
・贈与税の基礎控除額110万円(贈与額がいくらであっても一律で認められた控除額)
上記の計算式に当てはめると、500万円-110万円=390万円が課税価格になります。
あとは累進課税により贈与税がかかってくる税率が変わってきます。
・課税価格が200万円以下:税率10%:控除なし
・400万円以下:税率15%:控除10万円
・600万円以下:税率20%:控除30万円
・1000万円以下:30%:90万円
・1500万円以下:40%:190万円
・3000万円以下:45%:265万円
・4500万円以下:50%:415万円
・4500万円超え:55%:640万円
このように課税価格が上がるにつれて税率もどんどん上がっていきます。
ちなみに、先ほど計算した課税価格390万円だと、税率は15%になります。
下記の計算式で贈与税を計算します。
これで計算すると、(390万円×15%)-10万円=48万5000円
つまり、48万5000円もの税金を支払わなければならないということになります。
ただ、先述したように、この計算は「特例贈与財産税率」での贈与税額です。
「一般税率」が適用される場合、税率が変わってくるため、贈与税額も変わってきます。
・課税価格が200万円以下:税率10%:控除なし
・300万円以下:15%:10万円
・400万円以下:20%:25万円
・600万円以下:30%:65万円
・1000万円以下:40%:125万円
・1500万円以下:45%:175万円
・3000万円以下:50%:250万円
・3000万円超え:55%:400万円
一般税率が適用される可能性があるのは以下の場合です。
・住宅の名義はご主人1人だが、奥様のご両親から資金援助があった場合
・夫婦間で贈与をする場合
・夫婦の兄弟や親戚から資金援助を受けた場合
例えば、奥様のご両親から先ほどと同様の500万円の資金援助を受けた場合、以下のように計算されます。
課税価格=500万円-110万円=390万円
税額=(390万円×20%)-控除額25万円=53万円
同じ額の資金援助を受けても、「特例贈与財産税率」か「一般税率」かで税率が変わると税額も大きく変わってくるのです。
上記のように、税金を支払わなければならないとわかると、家族から資金援助してもらうのも少し躊躇ってしまいますよね。
ですが、実は家づくりでの資金援助の場合には税金が掛からなくなる制度もきちんとあります。
この制度を「住宅取得等資金の贈与税の非課税」といいます。
この制度は、ご両親や祖父母などから家づくりのための資金援助としての贈与がされ、それを元に新築を建築したりなどの住宅を取得するために利用する場合、贈与税が非課税になるという制度です。
非課税対象は、基礎控除の110万円に加えて最大で1,500万円までになりますので、家づくりでの資金援助を検討している方はこの制度を利用することをおすすめします。
ただし、この制度を利用する条件も多く存在しますので、自分たちが当てはまるかどうかを確認し、利用できるかどうかは役所などに相談しておきましょう。
では、制度を利用できる条件について、いくつかご紹介します。
・受贈者は、贈与者と血縁関係のある父母もしくは祖父母であること(養子縁組をしている場合は血縁関係とみなされて対象になる。配偶者の父母、祖父母からの贈与は対象外である。)
・受贈者は日本国内に住所があること。
・受贈者の、贈与を受ける年の所得金額が2000万円以下であること。
・過去に「住宅所得等資金の贈与税の非課税」制度を利用したことがないこと。
・贈与を受けたとしのよく年3月15日までに贈与された資金を全て充てて住宅を購入し、贈与を受けた翌年12月31日までに居住すること
・住宅の床面積の1/2以上が受贈者のための住まいであること
・贈与を元に建築、購入する住宅の床面積が50平方メートルいじょう240平方メートル以下の住宅であること
・受贈者が住宅を建築、購入する際に贈与者やその配偶者や親族が関わらないこと
上記のように多くの条件があります。
また、この制度を使う場合には様々な申告書や必要書類を提出しなければならなくなります。
申告を怠り、指定されている期日を1日でもすぎると贈与税の対象になってしまうため、注意が必要です。
また、上記の課税価格は、新築の契約を2020年4月1日〜2021年3月31日までの間で消費税が10%で省エネ住宅であるという条件の場合の価格になります。
この制度は、住宅の新築契約をいつしたか、消費税が何%か、住宅が省エネ住宅であるか否かなどによっても控除額が変わってくるので、事前に制度の内容は確認しておくようにしましょう。
上記の制度の他にも、贈与税を非課税にする方法があります。
それが「相続時精算課税制度」という制度です。
この制度は、60際以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫へ最大2,500万円までの生前贈与が非課税になる制度です。
また、「住宅取得等資金の贈与の非課税」と併用できるので、うまく利用すれば一般住宅で最大3200万円までの贈与が非課税対象、省エネ・耐震住宅であれば最大3700万円までの贈与が非課税対象とみなされます。
しかし、ここで注意しなければならないのが、贈与者が亡くなった際には相続税を精算して支払わなければならないということです。
もしこの制度を利用する場合は、将来の相続税を納めることも頭に入れた上でどのくらいの資金援助を受けるかを検討すべきでしょう。
住宅を取得する際に家族から援助を受けられることは、何よりのサポートになるでしょう。
できれば受け取る資金を税金にばかり取られずにうまく利用していきたいと思うはずです。
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