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日本の住宅事情の「これまで」と「これから」
こんにちは。
倉敷・岡山で建築家とおしゃれなデザイナーズ注文住宅を建てている建房の小林(史)です。
今回は、日本の住宅事情の「これまで」と「これから」についてお話していきます。住宅業界を取り巻く流れや現状を理解することは、家選びやメーカー・工務店選びにも役立ちます。
(出典:国土交通省)
日本の住宅の平均利用期間は「30年」です。アメリカでは平均「55年」、イギリスでは平均「77年」ですので、欧米諸国と比較すると非常に短いんですね。中古戸建住宅の販売価格も、大体23年を超えてくると建物の価値がなくなり、土地だけの金額で取引されます。
(出典:国土交通省)
上記グラフを見ていただけるとわかりますが、欧米諸国では築50年、築100年の住宅の比率が非常に高いです。もちろん、そのまま住むのではなく、リフォームやリノベーションを繰り返しながら住み続けられています。
日本に現存する住宅は、ほぼ戦後に建築されたもの。その理由は、日本の住宅業界で、戦後の高度成長期に「安く、簡単に建てられる家を開発、売却しよう」ということが進んだからです。この動きを加速させたのは、今、いわゆる「大手」と言われているハウスメーカーです。それに追従する形で、中小の工務店もたくさん誕生していきました。
戦後まもなくは「安く、簡単に建てられる家」が主流だったわけですが、ハウスメーカーや工務店の競合が始まると、徐々に家の性能面の開発が進んでいきます。それに伴い、住まいの価格も高騰していきました。
私は、住宅業界に身を置いて18年が経ちます。今から5年ほど前まで、約10年間、大手といわれるハウスメーカーにおりました。
15年ほど前の入社当時は、標準的な仕様の住宅で坪単価58万円ほど。しかし、退職した5年ほど前には坪単価70万円ほどにまで上がっていました。もちろん、私が入社した当時と比較して性能面は上がっているわけですが、他社と競争してどんどん付加価値を付けていくと、価格はどんどん上がっていくんですね。
そして坪単価が高いハウスメーカーが出てくれば、性能や仕様を抑えて値段で勝負するメーカーも出てきます。それが、いわゆる「ローコスト住宅」ですね。
簡単にお話しましたが、日本の住宅業界はこのような変遷をたどって今があります。統計上、日本の住宅の平均利用期間は30年。しかし、住宅性能がどんどん良くなっている今、住宅はより快適になり、より長持ちします。
また日本は現在、声高々に「脱炭素」「カーボンニュートラル」を推し進めていますが、この動きは住宅業界にも大きな影響を与えています。
日本では、人口、世帯数ともにすでに減少が始まっており、地価水準もバブル後を境に下降傾向にあります。さらに先ほど申し上げたように、住宅業界でも脱炭素、カーボンニュートラルが急速に推進されています。
戦後の高度成長期では、人口が増え、都市化が急速に進み、土地の値段もどんどん上がっていきました。経済成長が続き、住宅性能もどんどん良くなっていく情勢においては「新築」が主流となっていましたが、これからの日本は「成熟社会」を迎えます。
住宅をつくっては壊す……スクラップアンドビルドの時代は終わり、これからの日本の住宅には「長く使う」ことが求められるのです。
住まいを長く使うためには、計画的な点検・補修・交換や既存住宅流通の活性化も必要ですが、何より大切なのは家が長持ちする性能が備えられているかです。
高性能の住まいを増やすために、日本は国をあげて高性能住宅への控除制度の充実や融資の優遇なども進めています。2022年度税制改正では、2024年から一定の省エネ性能を有していない新築住宅は住宅ローン減税の対象外になることも発表されました。
次回のブログでは、住宅の性能についてまとめてみたいと思います。どうぞお楽しみに!
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