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SNSやネットで噂の「住まいの良い設備」これって本当に自分に合っている?
こんにちは。
倉敷・岡山で建築家とおしゃれなデザイナーズ注文住宅を建てている建房の小林(史)です。
家を建てるお客様は、様々なメディアから情報収集されていることと思います。実際に、お客様との会話でも「SNS」や「ネット」「テレビ」というワードがしばしば出ます。
「SNSで見たこの設備がカッコいいと思って!」
「この設備は使い勝手が悪いとネットの口コミがあった」
などなど。
私は、情報を広く集めることが悪いことだとは決して思いません。しかし、噂に惑わされすぎるのも良くないと思うのです。
最近、「ミーレ」というドイツのメーカーの食洗器が売り切れになりました。その要因は、Instagram(インスタ)で評判になったかららしいのです。
私のお客様でも実際に、「インスタでミーレを見てカッコいいと思ったから、絶対に食洗器はミーレにしたい!」という方がいらっしゃいました。ただ「かっこいい!」「つけたい!」とおっしゃっていたのは、主に食洗器を使用する奥様ではなく、ご主人様だったんですね。
私は中立的な立場で、次のことをお伝えしました。
「だったら……」と奥様は国内製の食洗器がいいとおっしゃっていたのですが、結果的にご主人様のご意向を優先されて、このお客様はミーレ製の食洗器を付けられました。
もちろん、ミーレ製の食洗器を否定するわけでも、お客様のご意向を否定するわけでもありません。
しかし最近の傾向として、SNSやネットの情報を鵜呑みにされて、「自分たちに合っているか」ということがどこか置き去りになってしまっている方が多いような気がするのです。
せっかくの夢のマイホーム。ご自分たちで設備も仕様もチョイスできるというのが、注文住宅の最大のメリットです。いざ住んでから「思っていたのと違う……」となるのが一番もったいないことだと私は思います。
ただ食洗器などの設備は、なかなか「使用感」まで導入前に知ることはできません。だからこそ、「噂」や「ネット上の情報」を参考にしたくなるお気持ちもわかります。
とはいえ、住まいの設備はご自身の「性格」や「使い方」によって向き不向きなものはあるもの。一度、冷静になって、「かっこいいだけで選んでいないか?」「みんながいいというモノが果たして自分にとってもいいのだろうか?」と考えられてみるといいかもしれませんね。
近年、「ウォークインクローゼット」に憧れがある方が多くいらっしゃいます。これも決してウォークインクローゼットを否定するわけではないのですが、「本当にウォークインである必要があるのか?」を考えていただきたいと思っています。
ウォークインクローゼットは、「大容量」という点が大きな魅力でしょう。しかし、片付けがあまり得意ではない方がウォークインクローゼットを作ってしまうと、どんどんモノを押し込んで「納戸」のような状態になってしまうことが多いんですね。つまり、ウォークインできなくなってしまうということです。
本来、ウォークインクローゼットは、衣類やモノを取り出しやすくするための収納形式であるはず。逆に取り出しにくくなってしまえば、本末転倒ですよね。
私の個人的な意見ですが、片付けが得意でない方ほど収納量をたっぷり設けないほうがいいと思っています。とくに収納に「奥行」があると、なんでもかんでも詰め込んでしまう傾向にあると思うのです。
収納量が多いとしても、結局、その家に収まる容量の限界はあります。収まりきらなければ、やはりときに処分することも必要です。
以前、お片付けが苦手なお客様がいらっしゃいました。
お住まいの建築前、ご自宅であるアパートにお邪魔したときには、もう本当に足の踏み場もない状態。その方のご希望は、「1階にも2階にも大容量のウォークインクローゼットが欲しい」ということでした。
しかし私は、設計士とともに「絶対にウォークインクローゼットは作らないほうがいい」と説得したんですね。それはここまでお話させていただいたように、ウォークインクローゼットを作ってしまったらモノをどんどん押し込んでしまうタイプの方だと思ったからです。
結局、1階はすべて壁面収納にしていただき、2階にのみ細長いウォークインクローゼットを作りました。細長いので、モノをどんどん押し込んでしまったら奥のモノは取り出せない形に“あえて”したんですね。
そのお客様、家を建てられる前はとても消極的で、口数も少ない方でした。しかし、家を建てられてから1年目に訪問させていただいたとき。「あれ?別人かな?」というほどに明るくなられていて、なにより家が散らかっていなかったのです。
お話を聞いてみると、「家が片付いているから子供が友達を連れてくるようになって、ママ友も増えた」とか。すっきり片付くようになって、明るく、社交的に、前向きになったと、ご自身でもおっしゃられていました。
私たち建房のハウスプランナーは、お客様が「こうしたい!」ということを叶えて差し上げたいという気持ちが一番です。しかし専門性やこれまでの経験をもって、もっと良い家にするためのご提案は今後もさせていただきたいと考えています。
世の中に出回る情報を参考にするなとも言いません。ただちょっと立ち止まって、その設備や仕様が「自分たちに合うのか」は冷静に考えていただければと思っております。
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